AVEX 山浦様インタビュー

昨年夏にエイベックスエンタテインメント様には新型コロナ対策として業界に先駆けていち早くPRGのUVC照射装置をご導入いただきました。

エイベックスエンタテインメントのシアター制作グループのゼネラルマネージャーである山浦哲也様(インタビュー内では敬称略)にUVCを用いての感染症対策を始め、公演における新型コロナウイルス対策に関してお話しを伺います。

 

UVC照射装置の導入と運用

--- UVC照射機をご導入いただいたのが昨年の夏でした。まだ世間でもコロナ対策に関して模索されている中でしたが、ご導入の決め手は何でしょうか?---

山浦 : 正直な話をすると、当初は何をやったら良いのか全くわからない状況でした。去年の夏頃はまだ、何をやれば一番効果的なのか、また何をやれば感染を減らせるのかが全く見えない状況でしたので。もっとも感染者は今と比べてそんなには出ていなかったのですが。導入決め手の一つとしては、スタッフさんや俳優さん、劇場さんの不安を減らせるのではないかというところも視野にありました。

我々は2020年の3月に公演を中止にして、9月に初めて再開したのですが、やはり「6ヶ月間ものブランクがある中において、どうやって再開したら良いのだろうか?」という話になりました。感染症対策のはっきりした指針は誰も出してくれないので、そんな状況において(PRGの)桑島さんからUVC機をご紹介いただきました。正直それが本当に有効かどうかは分からなかったですし、目に見える何かの保証があるわけでもないので。そこで、効果が分かる資料をいただき、最終的にこれに関しては「感染症対策の一環として導入を決めましょう」となりました。関係者の不安を和らげるという目的もあったかと思います。

 

--- UVC照射器に関してどのような運用をしていますか?---

山浦:劇場さんがOKであれば、機材を搬入し、その日の退出時に使うという方法で運用しています。どうしても我々が感知してないところで機材を稼働させる事を不安視する方もいらっしゃるので、劇場さんによるところはありますが、ただ「こういう対策をやっています」という安心感は、スタッフさんや俳優さんに対してあるのかなと思っています。正直視覚的には検温も手洗いも同じで、どれだけ本当に効いているのか誰にもわからないですよね。その中でもあらゆる対策をするということが大切で、UVC照射もその一環という感じです。

今後の課題とリスクを減らすための対策

 

--- 昨今のコロナ禍においての劇場公演の課題をお聞かせいただけますか?---

山浦: 正直同じコロナでもデルタ株が流行してからは実は状況が大きく様変わりしている現状です。今までの感染対策をしていても感染がおこりうるのではないか、そういう懸念が非常に見受けられるようになりました。現場で働く皆さんは各地でいろいろなお仕事をされているので、例えばスタッフさん・出演者の方も他の現場から入って来られたりします。我々のような制作の立場だと現場につきっきりになるのですが、他のスタッフさんや俳優さんの場合、別現場との兼ね合いの中で他で感染する、もしくは濃厚接触者になってしまうパターンが非常に増えていて、その結果中止になるという事が非常に多くなりました。

 

--- 本当に千秋楽までどうなるのか、不安がありますね。---

山浦 : 本当ですね。非常にその懸念が増えた印象です。ワクチン接種が進んでいるというプラスの面もあるのですが、それでも劇場に入る直前に受けたPCRで陽性者が出てしまうことがありました。陰性だった人はやはりワクチンを接種していた人でした。もちろんだからと言ってワクチン接種を強制は出来ないですけれども。ただ非常に効果が顕著に出ているので、関係各所の皆さんにはワクチンを打っているかは聞くようにしたうえで、さらにPCR検査を実施する体制にしています。

 

--- 以前稽古場に伺った際も抗原検査の実施や検温など、徹底した対策を感じました。公演に漕ぎ着けるまでにもリスクがある中、千秋楽を迎えるまでどのような点に注意されているのでしょうか。---

山浦:通常通りの対策を粛々とやるしかないのですが、感染症対策に特殊なことはないのですよね。今までの慣習だったことを今では全く今はやらなくなっています。例えばお客様や関係者の方からお花や差し入れを頂戴するなどはもう一切なくなりました。稽古のやり方も変わりました。それこそ打ち上げも全くないです。昔からおやりになっている諸先輩方からは非常に戸惑いの声も頂くのですが、こういうご時世ですし慣習をやめてでも感染症対策をやっていかないとと思っています。あとはもう、本当に全員に徹底させるということですね。検温の徹底だったり、全部をきちんとやっていくということですね。果たしてそれがどれだけ効果があるのかと考え出すと気持ちが萎えてしまいますし、可能性を0には出来ないですけれど。

 

--- いろんな方が1つの空間に集まるので大変だな、と我々も痛感しています。公演の撤去作業に入る時などは撤去まで無事出来てよかった、と心から思いますね。---

--- 繰り返される緊急事態宣言やその延長など、まだまだ業界でも気が抜けない状況ではございますが、今後の劇場公演に当たっての思いをいただけますでしょうか?---

山浦 : 正直今後のことはわからないと思ってしまいますね。アフターというよりもwithコロナで続いていくかもしれない。先の見えない状況ではあるので、とにかく今やれることをやっていくのみですよね。あとはこのご時世や経済状況だったり、お客様の感情だったり、そういうことを考えていくと「では、これからどうやって公演運営をしていかなければいけないのだろうか?」など。もしかしたら公演の企画自体を変えて行くとか、何かしらの違った演出も含めて考えていかなければいけないと思っています。

今後の視点としては、せっかく今までやってきたことを世の中が落ち着いたら元に戻してしまうと、ただの対策になってしまうので、いままでの知見として活かして一段高いレベルに持ってくというのをどう実現させるのか、ということを考えていきたいなと模索していますね。コロナ禍での新しいやり方が結果的にコストダウンにつながったということもあります。たとえば海外と繋いで、リモートで演出をするというのも画期的だと思いますし。「ではなぜ今までやらなかったの?出来るのに!」ということですよね。今までやっていなかったのは単に慣習として今までやっていなかったということだけなのですよね。制作からしてみると、従来の人のコストがかからないなど、すごく助かります。その方たちにとっても手間がかからなくなり、違ったお仕事を同時並行で出来るなどのメリットもあると思います。そのようなメリットをせっかくなので今後も活かして行きたいですよね。

--- コロナ禍の2年間で技術も変わりました。従来はチケット収益が伸び続けていたらイベントもお金をかけて派手にしよう、という時代がありましたが、今後は一度離れてしまったお客さんを再度呼び戻すためにすることなど、変わっていくと思いますか? ---

山浦:難しいところですね。結果的にやり方を元に戻すことでお客さんも戻ってきてくれるという判断をする選択肢もあると思うのですが、例えば、たくさんの人たちが仕込みに来て派手な技術演出をするということがイコールでお客さんが戻ることにつながるとは思えないですよね。僕達もコストダウンの方をやはり欲しているので、派手にしないとお客さんが戻ってこないというのが明らかならば、ではお金をかけましょう、というような話になりますけどね。やはり公演に対する考え方は変わってきていて、お金をかけて「ド派手な劇場公演をやります」というよりも今はイマーシブの要素を取り入れるなど、そういった新しい演出をする方が話としては多いですね。

 

--- ありがとうございました。感染症対策を含め、今後の公演へのお考えなど大変参考になりました。我々も引き続きエンターテイメントに携わる立場として、業界が苦しい中でも公演のサポートをしていければと思います。 ---

【プロフィール】

山浦哲也:

劇団四季で舞台監督を務めたのち、脚本・演出家として活動。

現在エイベックス・エンタテインメント株式会社 ライヴ事業本部 シアター制作グループにてゼネラルマネージャーを務める。キャリアを通して多くの演劇やミュージカルをプロデュースしている。

 

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