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KAAT様インタビュー

KAATさまには昨年夏にコロナ対策として業界の中でも先陣を切ってUVC照射装置をご導入いただきました。

KAAT事業部長兼技術監督、また公技連(公共劇場技術者連絡会)の会長も務める堀内真人様とKAAT企画調整課の河崎巴見様に、UVCを用いての感染症対策を始め、劇場における新型コロナウイルス対策に関してお話しを伺います。

 

コロナ禍における運営含め徹底した対策

--- どのような対策を行ってきましたか ---

堀内:検温、消毒、換気など基本的な感染症対策はもちろんおこなってきましたが、対策はただ厳しくすれば良いものでもなく、対策すればするだけ安心安全にはなるけれども、続けていけなければ意味がないと思っています。去年の夏に再開する際には、どこまで消毒するべきかを考えました。貸館事業も含めて、ちゃんと効果があって安心安全を与えられる、続けていけるやり方はなんだろう、と模索していました。感染症対策の専門家に劇場を再開するにあたって我々の対策はどうなのか意見を聞きながら進めていて、劇場内を見てもらいながら話を伺い、「劇場という施設の特性がある中で出来るだけの事はやってらっしゃいますね 」というご意見はいただいたのですが、その際に病院ではUVCを使っていますよ、ということも聞いていました。そんな時に、ちょうどPRGさんからUVCのお話があったのです。

 

--- ご導入当初からの運用方法は? ---

堀内:毎日稽古や仕込み・上演の利用が終わると最後に鍵を閉めるのですが、そのタイミングでUVC照射装置を会場の中央付近に設置して、その電源を繋いでおくのです。そして無人の状態の中、警備員さんが夜間巡回する時にUVC照射装置のスイッチを押してもらうというやり方をしています。あと、万が一のこともないように、照射中には、「照射中」という表示板を出すようにしていますね。

 

--- 劇場客席の感染症対策だけでなく、稽古場への配慮をかなり感じます ---

堀内:そうですね。あと貸館で借りていただいている方にも使っていただけるようにご案内しています。

河崎:ほぼすべての団体に使っていただいていますね。貸館の主催者にも舞台監督さんに「終わったらこちらに(UVCの)機材があるのでリハーサルの後にセッティングすれば後でスイッチを押しますよ」とアナウンスをすれば設置しておいてくれます。その後で警備の人がスイッチを入れてくれるというルーティンが出来ていますね。

堀内:あとは、小道具やかつらが多い場合に、早替えブースに物を集めて、UVCの小型機を使って照射をおこなっています。

リスクを減らすための試行錯誤

--- 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置下における劇場公演に関してお聞かせください ---

堀内:神奈川県では幸いにも3回目の緊急事態宣言はなく、重点措置下でしたが、上演活動をなんとか継続できました。KAATの公演では20時終演などを考慮しながらの開催で、上演時間を守りながら、なんとか進めることが出来ました。この先もどういう状況になるか読めない中で、プランB・プランCを考えながらやっていかなければと思っています。少しでも安心していただける状況を作れればと、例えば椅子の下に手荷物を入れるかごを置いて、荷物が直接地面に触れないようにするような工夫をしています。

河崎:かごの中もちゃんと消毒できるように公演後は向きを変えてUVCを当てられるようにしていますね。

 

--- いかにリスクを減らしていけるか、という取り組みですね ---

堀内:悩ましいのが、対策とサービスのバランスです。去年再開するときに可能な限りリスクを減らして再開しようという業界全体・社会の取り組みがあって、現在もコインロッカーの使用を全面停止しています。一方で荷物を預かるというお客様へのサービスとして、それで良いのだろうか、ちゃんと消毒をすれば使っていただけるのではないか、とも思います。さらに、ホワイエで食事を販売することはまだ難しいと思いますが、例えばペットボトルなどの飲み物の販売はサービスとして必要なのではないかと思います。意味のある対策は続けながら、本来サービスとしておこなって来た事をどうやって取り戻していくかをこれから考えていかなければと思います。また、リスク減の取り組みでいえば、例えばスタッフの履き物も、稽古場では外履きと内履きを分けるということをしています。先ず館に入る楽屋口で一度靴裏消毒をする。そしてさらに、利用会場エリアに入るときに靴裏消毒をするなどを行っています。それもコロナ前と比べると徹底していますね。

 

--- アフターコロナに想うことは? ---

堀内:(今後の事は)まだちょっと想像がつきませんね。稽古始めから千秋楽まで何度も何度もPCR検査をおこなうと、かなり大きな金額になりますが、一方ワクチン接種が進んだからといって、当面公演関係者のPCR検査を不要と考えるわけにはいかないでしょう。社会全体でもう安心だね、というコンセンサスというか気分が醸成されて、はじめて検査も必要としなくなり、その先にやっと元に戻るのではないでしょうか。まだ再開して1年経っていないのですけれどね、気が遠くなりますよね。

日本で作品を創作し発信する公立劇場が出来はじめたのがせいぜいこの25年くらいです。公共財としての舞台芸術、ビジネスとしてのエンターテインメント、それぞれをいろいろな人が支えてきました。それを根こそぎ持っていかれる訳にはいきません。なんとか可能なやり方で続けていかなければならない、という思いをそれぞれの方が持った1年だったと思います。

劇場という特別な場所

--- UVCを始め、感染症対策についてご意見をいただき、ありがとうございました。最後に、今後の劇場公演に対してメッセージをお聞かせいただけますか? ---

堀内:続けていかなければいけない。縮こまっているわけにはいかない。同じ時間と場所を共有する空間を作っていかなければならない。野蛮な勇気を振るうのではなく、皆が集う場所として劇場が必要なのだと、発信していかなければならないと思います。

実は、KAATという劇場が神奈川県にあるという事を知らない県民もまだ沢山いらっしゃいます。この4月から新しく就任した長塚圭史芸術監督のもと、そういった、これまで演劇や劇場に興味のなかった方にも知っていただいて、足を運んでいただけるよう、劇場がもっと「ひらかれた」場になるよう取り組んでいきたいと思っています。おかげさまで、今年でちょうど開館10年になりました。ようやく演劇界ではKAATという劇場を知って頂いて、ちょっと毛色の違うものをやっているぞと見て頂けるようになって来ましたが、これまで頂いた評価をバネにして、演劇ファンだけではなく、もっと劇場を知らない方、劇場に来たことのない子供さんや若い人にもお年寄りにも、興味を持って見に来ていただけるチャンスを作っていきたいな、と思います。

この前もアトリウムに仮設劇場を作って、「王将」という坂田三吉を描いた戯曲を長塚芸術監督の演出で上演しました。本当はフードカーなども出して、観劇にいらっしゃる方だけでなく足を運んでいただける場にしたかったのですが、コロナ禍で叶いませんでした。これからは、そんな取り組みもどんどんやっていきたいと思っています。

【プロフィール】

堀内真人(ホリウチ マヒト):

開館準備からKAATの運営と作品制作に携わり、現在事業部長・技術監督を務める。フランスやイギリスで学び、様々な作品のクリエイションに携わった経験を活かし、「創る場所」としての劇場の役割を考えながら多様な劇場運営を目指す。 _

公技連(公共劇場舞台技術者連絡会)の会長として劇場間の交流や連携を積極的におこなっている他、KAATでの舞台技術講座や講演などで劇場に携わる技術者や若手の育成にも力を入れている。

 

河崎巴見(カワサキ トモミ):

企画調整課としてKAATの施設管理・運営に携わる。また、一般の方に向けてもバックステージツアーなど劇場を身近に感じられる取り組みを積極的に発信。今回のコロナ禍では、可能な限り中止を避けての劇場公演継続を目指し、感染症対策を含めた関係各所との調整に奔走した。

 

【KAAT神奈川芸術劇場】https://www.kaat.jp/

2011年開館。「モノをつくる」、「ヒトをつくる」、「まちをつくる」をテーマとする創造型の舞台芸術専用劇場。演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を企画、制作、上演する舞台芸術の広域拠点施設として、県内の文化芸術団体、文化施設、関係機関と連携した事業を展開。

 

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